2018年9月25日火曜日

会社を買うときは事業譲渡で

皆様こんばんは。
今日はM&Aのスキームについてです。

中小企業のM&Aは「株式譲渡スキーム」が採用されるケースが9割近いのが実情です。
これは、「株式譲渡スキーム」を採用するメリットである「手続きの簡易性」「売主の税メリット」が主な要因かと思います。
「手続きの簡易性」というのは、株式譲渡の場合は単に株主が変わるだけで、取引先との契約・許認可・従業員雇用契約・資産の所有権者は変わらない為、シンプルな取引になるという点を指します。
「売主の税メリット」は、売主が株式を売却する際に生じる譲渡益に対する課税は、20.315%の分離課税で済むという点を指します。

一方、「株式譲渡スキーム」が抱える最大のデメリットは「簿外債務の承継」です。
上記しましたとおり、「株式譲渡スキーム」においては株主が変わるのみですから、買収後に、買収した会社が思わぬ債務の履行請求を受ければ、それに対応せねばなりません。

簿外債務を排除するために、まずは買収監査の機会がいただけます。
しかし、監査には限界があります。決算書の数字が正しいかどうかの正確性はある程度検証できても、決算書に載ってこない隠れた債務を網羅することは、実務上不可能です。
したがって、M&Aの最終契約書には売主による表明保証と損害賠償規定がでてきます。最終契約書に、売主が、「簿外債務はありません。もし出てきたら、もらった株式譲渡対価の範囲内で損害賠償責任を負います」という内容が盛り込まれることが一般的です。
一見、安心できそうですが、それは株価が高くつく案件に限られます。
株価が数千万円しかつかなかったり、極端ですが株価1円という案件も中小企業のM&Aでは珍しくありません。そうすると、簿外債務の額が株価を上回ることも珍しくないということになり、買主は簿外債務に対してノーガードの状態になります。

したがって、「株式譲渡スキーム」ではなく「事業譲渡スキーム」の方が安心と言えます。「事業譲渡スキーム」は資産負債債権債務の個別承継なので、要るものだけを買うことができ、要らないリスクを背負い込むことがないからです。

手続きの煩雑さ・譲渡側のオーナーの心情・譲渡対象事業の従業員の心情など、実務上は気を配らなければならない点が多く、上記したような論点は机上の話であり、事業譲渡は労力がかかりすぎる、という側面は事実としてあると思います。しかし、まずは、小規模の取引ほど

2018年5月22日火曜日

事業承継税制 納税猶予の対象にならない資産管理会社とは

皆様こんにちは。
だいぶ暖かくなってきましたね。私も、娘の運動会やソフトボール大会に出席し、日焼けしております。

さて、今日は事業承継税制についてです。
納税猶予の対象とならない会社として挙げられている「資産管理会社」。
納税猶予を受けている猶予期間中に「資産管理会社」に該当してしまうと猶予取消になってしまう為、確認しておくべき事項です。

資産管理会社は「資産保有型会社」と「資産運用型会社」に分かれます。

「資産保有型会社」は、「特定資産」の合計額が総資産の70%以上の会社を言います。
「特定資産」とは有価証券、不動産、現預金等が含まれます。
事業承継税制は、経営者の世代交代を促し、企業の活性化や企業の存続性を保つために作られている制度ですから、単に資産を保有しているだけの会社に事業承継税制を適用させることは、制度の趣旨になじまないためです。

「資産運用型会社」は、一事業年度の売上のうち「特定資産」からの運用収入の合計額が75%以上の会社を言います。

優良な一般事業法人で、特定資産が70%を超えてしまう法人はあり得ると思います。
そこで、次の要件を全て満たす場合には、上記条件に該当してしまった場合でも、納税猶予を受けることが可能になるという除外規定がございます。

①親族外従業員が5名以上いること
②親族外従業員が勤務している事業所・店舗・工場その他の固定施設を有し、又は賃借していること
③経営承継相続人の被相続人の死亡の日において、3年以上継続して「事業」を行っていること。「事業」とは、商品販売・資産の貸付け・役務の提供で継続して対価を得て行われているものを言います。

ご参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき有難うございました。

2018年3月8日木曜日

事業承継税制、使わない検討をまず行う


心が変われば  態度が変わる
態度が変われば 行動が変わる
行動が変われば 習慣が変わる
習慣が変われば 人格が変わる
人格が変われば 運命が変わる
運命が変われば 人生が変わる

By マザー・テレサ

先日、社内の研修で聞き、強く胸に刻まれました。
「運」の大切さを最近すごく感じています。
そして、「運」は偶然良くなることもあるかもしれませんが、自分の心がけ・行動により引き寄せることもできるものなのだと感じるようになりました。
私のお客様にも、「運が下がるから〇〇はしない」という言葉をよく発する経営者がいらっしゃいます。「運」をコントロールしているのだなと思います。
「運」が自分に味方してくれるよう、前向きに・明るく・ポジティブな心で日々過ごしていきたいと思います。

さて、皆様ご承知のとおり、平成30年税制改正大綱にて事業承継税制の大幅な改正がありました。一見すると、使いやすくなり、効果も大きい内容になっています。

しかし、安易に「事業承継税制で納税猶予を受ければ株の問題は解決だ」と思わない方が良いと考えております。本質的には問題の先送りという側面があります。
納税猶予はあくまで「猶予」であり、未来永劫、親族内で承継していければ良いのかもしれませんが、どこかでM&A等で他人に株式を譲渡する可能性の方が高いわけです。その時に、猶予されていた税金と利息を支払う必要があるわけですから、借金していることと大した差はないと考えます。
納税猶予の制度を使わずに、自社株の承継ができる場合はまずそれを検討すべきです。

ただ、事業承継税制を使わない対策で最善を尽くし納税負担を最小に抑えたとしても、尚、株価が高く納税額・資金負担が高額になる優良企業は、一旦は納税猶予で敢えて問題を先送りすることも有効だとも思います。
いずれにせよ、安易に事業承継税制を選択するのではなく、まずは事業承継税制を使わない選択肢を検討してみることが大切だと思います。

2017年12月26日火曜日

今年もありがとうございました!

皆様おはようございます!
今年も残すところあと僅かです!

今年は年始から多くのM&Aに携わらせて頂きました。
それぞれの案件で、色々な経営者の考え方や心情に触れることができ、非常に良い経験をさせて頂きました。

この年末も、昨年から着手した案件が明日契約になります。
振り返ってみると、どの案件も1年程度かかっており、M&Aはなかなか時間がかかるということを改めて感じます。
譲渡側の経営者はその間ずっとストレスを抱えて日常業務を取り仕切っていかなければならず、相当な負担だと思います。明日契約のお客様も、本当に苦しい想いをされてきただけに、成約を心から嬉しく思います。明日が最高の「晴れ日」になり、新しい年を新たな気持ちで迎えられることを心より祈念したいと思います。

また、他にも、年内に基本合意に至りそうな案件があります。
年末で多忙ではありますが、やはり年内に一息ついて頂き、穏やかな正月を迎えることができるよう、残り僅かですが精進したいと思います。

そして、私自身も年内にまとめるものはまとめ、正月に来年の計画を立て、今年を上回る一年にしたいと思います!

皆様今年も1年間本当にお世話になり、有難うございました。
来年もどうぞ宜しくお願いいたします!

2017年10月11日水曜日

事業承継税制について

皆様こんにちは。
今日は、平成29年度税制改正により大幅に利用価値が上がった事業承継税制について書いてみます。

まず、事業承継税制とは、中小企業等の後継者が、相続等によりその会社の株式を被相続人から取得した場合に、一定要件を満たせば、その株式に係る相続税の80%が納税猶予される制度です。また、相続だけでなく、贈与の場合も、一定要件を満たせば、その株式に係る贈与税が全額納税猶予される制度です。

次に、一定要件のうち主たるものについて記載します。
①相続税(贈与税)の申告期限までに経済産業大臣の認定を受けること。
②相続税(贈与税)の申告期限後5年間、平均8割以上の雇用を維持すること。
③相続税(贈与税)の申告期限後5年間、後継者が会社の代表者であること。
④相続税(贈与税)の申告期限後5年間、対象となる株式を継続保有すること。

ちなみに、5年経過後にM&A等で第三者に株式を売却する場合には、猶予されていた相続税と利子税を納付しなければなりません。

また、贈与税の納税猶予を受けた後、先代が死亡した場合については、贈与税は全額免除されるということですが、納税猶予の適用を受けた株式は相続又は遺贈により取得したものとみなし、贈与時の価額により他の相続財産と合算して相続税を計算することになりますので、実質的には免除とは言えません。尚、この場合、改めて相続税の納税猶予を受けることは検討可能です。

さて、本題ですが、事業承継税制の最大の弱点は、納税猶予後の5年の間に、上記要件を満たせなくなった場合、猶予税額全額と利子税を納付しなければならないことです。贈与税の納税猶予については、簡単に55%という最高税率に達し、税負担が恐ろしい金額になります。リスクが大きい割に、先代死亡時には相続財産に加算されるということでメリットは少なく、殆ど利用されてこなかったのが実状です。

ところが、平成29年度税制改正により、事業承継税制と相続時精算課税が併用できるようになりました。これにより、納税猶予が取り消された場合の贈与税負担が大幅に軽減され、制度利用が現実的になりました。
株価が大きく下がったタイミングで、先代から後継者へ株式を移動する場合、これまでは売買や相続時精算課税制度の二択をお客様にご提案してきましたが、これからは納税猶予についても提案しなければなりません。

利用しやすくなった事業承継税制ですが、制度利用は発行済株式総数の2/3以下(元々後継者が所有していた株数を含む)に限られ、1/3については通常通り課税対象になります。
被相続人が全株式を保有した状態で相続を迎え、相続税の納税猶予を最大限活用した場合、100%2/3×80%48%については、やはり納税資金の確保が必要ですので、株価対策は検討すべきと考えます。

明日、事業承継税制についてのセミナーを受講する予定です。

しっかり勉強してきたいと思います。

2017年7月26日水曜日

①に分散②に分散、③④が無くて⑤に分散!

こんばんは。

先週はインドネシア&関西、今週は九州、来週はまた関西と、珍しく出張続きでバタバタしております。

さて、先日、投資についての考え方で大変参考になるセミナーを受講しましたので、簡単にご紹介させて頂きます。 尚、目新しい話というわけではなく、一般論として広く認識されていることではありますが、改めて話を聞いてみて、その考え方の大切さを再認識したので、書いてみるという次第です。

結論としては、インフレに対する備えはできていますか?という点です。

現在、日本国の借金は1,000兆円以上です。
2016年の日本のGDPが4兆9千億米ドル(110円で540兆円)ですから、GDP対比で約2倍に膨らんでおり、これは全世界でトップであり、ギリシャをも上回る倍率です。
政府も様々な方策を実施していますが、借金は増え続けているのが現状です。
今日の日経新聞にも、2020年度に財政健全化(プライマリーバランスの黒字化)を達成する目標は、風前の灯火であるという記事が出ています。
記事では増え続ける歳出についての内容になっていますが、借金を返していくためには、歳出の削減と共に、増税とインフレが必要です。

まず、増税についてですが、消費税はやはり将来的には上げざるを得ないでしょう。
ヨーロッパでは軒並み20%超であり、日本のインフラ・社会保障水準を考えると8%は低すぎるとのことです。
消費税以外は、富裕層課税です。
5%の富裕層に対し更なる相続税強化を押し進め、取れるところから取っていこうということが考えられます。
相続税は平成27年に増税改正がなされています。
納税義務者は確実に増加し、相続税収入も増加していますが、もともと相続税が多額にかかる富裕層に与えたインパクトはそれほどでもないように思います。
現段階で具体的に検討が進んでいるとかいう話ではありませんが、将来、あり得るのではないかと思います。

次に、インフレです。
上場企業の決算は過去最高益の状態であり日本の景気は良いです。
しかし、物価がなかなか上がってきていません。
これは、デフレに20年間浸かってきたことも心理的要因としてあるとは思いますが、実際には、国民の可処分所得が上がってきていないことが原因です。
企業は好業績ですが、給与が上がってこなかったのです。
可処分所得が上がらないから、消費に回すお金が増えず、物価が上がらない、という構造です。

従って、政府は緩やかなインフレに持っていくために、給与を上げるよう様々な施策を実行しています。
1億総活躍プラン、同一労働同一賃金・・・今日の日経新聞にも最低賃金25円引き上げという記事が出ています。
労働力不足も深刻な状態であり、今後は給与は上がっていくと思われます。
世帯の可処分所得が増えていけば、消費に回すお金も増え、そうすると物価が上昇していくというシナリオです。
楽観的なシナリオかもしれませんが、国の方向性はこういう考え方になっています。

インフレが進むと、当然ですがお金の価値が下がります。
仮に物価上昇率が2%で毎年推移するとすれば、「今の1000万円」の価値は、
10年後に820万円
20年後に670万円
30年後に550万円 になってしまいます。
不動産を買う時には、将来の値下がりリスクに真正面から向き合う投資家が殆どですが、インフレによる預金価値の目減りというリスクを、頭では理解しながらも見ようとしない投資家は多いと思います。
金融商品を販売する際も、円建商品がやはり好まれます。
為替リスクを取りたくないという投資家の方は多いと思います。
しかし、円に偏った資産構成でインフレリスクを考慮しないことは、国の方向性に逆行しているのだということを認識しておかなければなりません。
実際にインフレが進むかどうかは分かりませんが、通貨の分散や、インフレに対応できる資産(例えば不動産や株式)への資産の組替を行うことがリスク分散になります。
投資にリスクは付き物です。
リスクを小さく抑えるためには「①に分散②に分散、③④が無くて⑤に分散!」とのことです!

2017年5月10日水曜日

積立投資の優位性について

おはようございます。
GWは久しぶりに長期休暇が取れ、かなりリフレッシュできました。
弊社は12月決算なので、残り半年強、頑張ります。
 
今日は5/6の日経新聞「M&I マネーアンドインベストメント」の記事を紹介させて頂きます。
積立投資の優位性についての記事でした。
 
毎月決まった金額を買い付けていく積立投信に比べ、自分でタイミングや金額を決めて購入していった方々の保有者平均損益は、投資信託自体の基準価格の騰落率を大きく下回っているというデータが紹介されていました。
これは心理的な要因が絡んでいます。
簡単に言うと、高値掴み、安値売りになってしまっているということです。
投信は市場環境上昇局面で、更に良くなることを期待して購入する人が増えます。逆に、下がり始めると今度は不安にかられ、手放してしまう人が増えます。
この「高値掴み安値売り」がいかに多いかはデータでも紹介されていました。
ギャンブルの要素が高く、面白いのは分かりますが、データからは、負ける可能性の方が高いことがハッキリ言えます。
 
では、積立投資の方はどうでしょうか。
積立投資の代表例は、今話題の確定拠出年金向けの投資信託です。
積極的な運用を行うアクティブ型、市場に連動する運用を目指すインデックス型、いずれにおいても、基準価格騰落率よりも保有者の平均損益が高いというデータが紹介されています。
ドルコスト平均法の効果が働き、購入平均単価が総じて低くなることから良い結果に繋がっていると言えます。
毎月一定額の購入していくので面白味に欠けますが、弊社のお客様でも中長期で積立投資を行っていらっしゃるお客様はほぼ全て高パフォーマンスをあげておられます。
 
また、投資する対象については、日本株投信よりも世界株投信の方が高パフォーマンスをあげているというデータも紹介されていました。
これは、日本株よりも世界株の方が値動きが激しいため、ドルコスト平均法の効果がより高くなるためです。
 
確定拠出年金、来年から始まる積立NISAについては、税務面での優遇措置も受けられます。積立投資金額に上限がありますが、是非枠いっぱいの投資をお勧めしたいと思います。
 
どこかの本で書いてました・・・
「コツコツが勝つコツ」です。

会社を買うときは事業譲渡で

皆様こんばんは。 今日はM&Aのスキームについてです。 中小企業のM&Aは「株式譲渡スキーム」が採用されるケースが9割近いのが実情です。 これは、「株式譲渡スキーム」を採用するメリットである「手続きの簡易性」「売主の税メリット」が主な要因かと思いま...