2017年10月11日水曜日

事業承継税制について

皆様こんにちは。
今日は、平成29年度税制改正により大幅に利用価値が上がった事業承継税制について書いてみます。

まず、事業承継税制とは、中小企業等の後継者が、相続等によりその会社の株式を被相続人から取得した場合に、一定要件を満たせば、その株式に係る相続税の80%が納税猶予される制度です。また、相続だけでなく、贈与の場合も、一定要件を満たせば、その株式に係る贈与税が全額納税猶予される制度です。

次に、一定要件のうち主たるものについて記載します。
①相続税(贈与税)の申告期限までに経済産業大臣の認定を受けること。
②相続税(贈与税)の申告期限後5年間、平均8割以上の雇用を維持すること。
③相続税(贈与税)の申告期限後5年間、後継者が会社の代表者であること。
④相続税(贈与税)の申告期限後5年間、対象となる株式を継続保有すること。

ちなみに、5年経過後にM&A等で第三者に株式を売却する場合には、猶予されていた相続税と利子税を納付しなければなりません。

また、贈与税の納税猶予を受けた後、先代が死亡した場合については、贈与税は全額免除されるということですが、納税猶予の適用を受けた株式は相続又は遺贈により取得したものとみなし、贈与時の価額により他の相続財産と合算して相続税を計算することになりますので、実質的には免除とは言えません。尚、この場合、改めて相続税の納税猶予を受けることは検討可能です。

さて、本題ですが、事業承継税制の最大の弱点は、納税猶予後の5年の間に、上記要件を満たせなくなった場合、猶予税額全額と利子税を納付しなければならないことです。贈与税の納税猶予については、簡単に55%という最高税率に達し、税負担が恐ろしい金額になります。リスクが大きい割に、先代死亡時には相続財産に加算されるということでメリットは少なく、殆ど利用されてこなかったのが実状です。

ところが、平成29年度税制改正により、事業承継税制と相続時精算課税が併用できるようになりました。これにより、納税猶予が取り消された場合の贈与税負担が大幅に軽減され、制度利用が現実的になりました。
株価が大きく下がったタイミングで、先代から後継者へ株式を移動する場合、これまでは売買や相続時精算課税制度の二択をお客様にご提案してきましたが、これからは納税猶予についても提案しなければなりません。

利用しやすくなった事業承継税制ですが、制度利用は発行済株式総数の2/3以下(元々後継者が所有していた株数を含む)に限られ、1/3については通常通り課税対象になります。
被相続人が全株式を保有した状態で相続を迎え、相続税の納税猶予を最大限活用した場合、100%2/3×80%48%については、やはり納税資金の確保が必要ですので、株価対策は検討すべきと考えます。

明日、事業承継税制についてのセミナーを受講する予定です。

しっかり勉強してきたいと思います。

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